Copyrights 2012 Hiroyuki Noritake

Essay

Vol.17

ところで僕が居候させていただいている佐渡さんのParis邸は本当にステキである。

ブローニュの森が眼下に広がるリビングからの眺めは筆舌に尽くしがたい絶景で、家具や絵画、かわいいデコレーションたちが心地よく自然に部屋を彩っている。僕が気兼ねなく生活できるように、と専用のゲストルームとバス、トイレまで与えていただいた。

このゲストルーム、以前ジャズ・トランペッターの原 朋直さんもパリ修行の折に使用されたそうで、佐渡さん曰く「道場部屋」なのだそう。
「絵書きさんや俳優、いろんなアーティストが自由に創作、寝泊りできるような場所をね、与えてあげるのが夢なんや。」
・・・佐渡さんの足は本当に長い。

オケとの3回目のリハもなんとか(無事にとは言わないが)終え、僕はそのまま居残りに。今回のコンサートの特別企画であるピアノトリオの音合わせのためだ。キッチュなブルース・ウィリスといった風貌のピアニスト、ブルーノさんと、やわらかな好青年ベーシスト、ステファンさんという布陣。

はじめましてのご挨拶もそこそこに早速のスタート・・・「うわぉ!なんてスポンティニアス! イマジネイティブ!! ワンダフォ~!!!」2曲を2回ずつ返して
「See You Sunday !」だって・・・。
それって「あとは本番よろしくっ!」ってこと?
「アァノォ~、僕まだよく理解していないんデ~スけどォ?」などと言えるはずもなく、笑顔で見送る自分がイジラシイ。

また課題をひとつ、いや、ふたつ増やしてしまった。

この日の午後はメトロで街へ出てみることにした。この季節、Parisはもうかなり肌寒い。

ふらっと寄ってみた某有名デパートのメンズ・フロア。真っ黒のシャープなカットのディオールのコートが僕のハートを捕える!ウィンドウ・ケースの中には、これまたシャープでエスプリの効いたデザインのボストンバッグ・・・ディオール製。

「これ着て、これ提げて冬のヨーロッパの街々を闊歩する日本人ドラマーってどうよ!」

嫌いじゃないんだな、そういうの。でも"クリスチャン"が歩いてるようなのは嫌だなぁ。いつかは、そういうのが似合う大人の男になってみたいものです。

でもほんの少しだけ、Parisにいる自分を自然に感じられるようになってきたかも・・・。

Peace,