Copyrights 2012 Hiroyuki Noritake

Essay

Vol.18

リハーサル最終日。納得できない部分、微妙な流れが未だつかめない部分・・・してやったり!なところ、気ン持ちい~いところ、思わずグッときてしまうところ・・・。それぞれの曲にいろんなドラマを満載して、佐渡船長率いるラムルー号は最後の模擬航海を終えた。

日本から応援に駆けつけてくれた音楽家の友達と散歩に出かける。先ずはマルモッタン美術館。ここはクロード・モネの絵をたくさん所蔵していて、大きくはないけれど親しみの持てる空気の中に、絵たちがやさしい光を放っている。

長くはないメイン廊下の突き当たりが大きな一枚ガラスになっていて、庭に立つ一本の木を絶妙なコントラストに切り取って見せていた。感受性のすこぶる強い友達はガラスの前から動かない。・・いや動けないでいるようだった。

Parisで見るモネの絵は・・・とても写実的に思えた。この街に画家たちが集まってくるのも今の僕にはうなずくことができる。Parisの光に呼び寄せられた芸術家たちが絵を残し、建物を残し、音楽を残してParisの街が創られていったのだ。これを文化と呼ぶのかモネ!?

そのまま20分ほど歩いてブローニュの森へ。途中、犬と散歩している老婦人のあまりの微笑ましさについ立ち止まる。
「何を笑っているの?なにか可笑しくって?」
・・・怖っ。おや、英語可?
「いっ、いや、あまりに可愛いワンちゃんなので・・・」
「あ~ら、そう?じゃ、この子と一緒にお写真撮ってあげるわね!!」
・・・この変わりよう。

この街の住人は気位が高い。森の中には池があって、トロ~リ物憂げな水をゆったりと、たゆたわせていた。池の中には島があって、島の中にはレストランがある。そこへは渡し舟でのみ行ける仕掛けになってある。粋やねぇ。そこでのんびりとお茶をしているうちに日も落ちてきた。そろそろ佐渡さんちへ帰らねば。

「船が出るぞ~!」
・・・ん?ゥワッチャォ~~~ゥッ!!!
そこで僕たちが見たものは?あんなに美しい夕焼けは・・・(ブローニュの森。池の中にはさっきまで居た小島とレストラン。黄、オレンジ、赤から紫を経て青、黒へと秒刻みで移る光のコントラストが水面をも抱き込む。手前の樺の樹肌に映りこむ陽と陰。)僕には初めてに思えた。またしてもその光景に金縛りの友達。

「団員たちの光になってやって欲しいんや・・・。」 明日はいよいよ本番や!僕はラムルー号の航海にどんな光を照らすことができるんだろう?

Peace,