Copyrights 2012 Hiroyuki Noritake

Essay

Vol.25

デビューより18年間の長きに渡り在籍してきた事務所、Village-Aを離れた。公私にわたり本当にお世話になりました・・・感謝しています。

ここのボス、青木さんによってこの世界へ牽き上げてもらったこと無しに、その後のいろんな素晴らしい出会いは無かったのだから!これを機に、少しはナイス・ミドルになれるとエエなぁ、と想ふ今日この頃である。

さて先日、興味深~い仕事があった。現場にデジカメを持っていったにも拘わらず、バッテリーを充電器に挿したまま出掛けてしまったので、このページ自慢の「画像」は無いのであしからず・・・。

「PINK BONGO」というバンドがその正体。随分と前からオファーしていただいていて、ベーシストがあの高橋ゲタ夫さんだということもあり非常に楽しみにしていた。しかし余りにもこのバンドに対する情報が当方、不足していたのでネットで調べてみた

・・・が謎は深まるばかり。
・・・ そしてようやく資料が届く。

・・・混乱した。

50曲分はあるかとみえる譜面の束とノー・カットのライヴ、2ヶ所分のMD音源。その中からどの曲がセレクトされるのか?それを示唆するモノは何ひとつとして同封されていない。

・・・謎だ。

全部あたっておくのが筋であろう。またしても受験生さながら、山の様な譜面とMDプレイヤー、各種筆記用具(愛用蛍光ペンセット5本含む)など等を机の上に正しく並べ置き、「かかって来なさい!」とばかりに戦闘態勢に入る。MDの再生スイッチを押して・・・ 5分も経たぬうちに気がついた。

「な、なんなのだ、この集団は・・・!!」

抱腹絶倒、阿鼻叫喚。

だけどそこに確かに存在しているReal Jazzのみが持ち得るナイフの様な緊張感と、極めてシリアスな、ある種、百戦錬磨の海千山千なオトナ達のみがこれまた持ち得る洗練された、いや、時にハチャメチャなバランス感覚とに、僕はすっかり打ちのめされていたのだった。筆記具を置き、ただ彼らの演奏に、MCに、寸劇(?)に身を委ねること?時間・・・。僕はすっかり彼らのファンになってしまった。

当日の会場となる「銀座モンテカルロ」は80年代のDISCOを改装したと思しきBlueな異空間で、続々到着するメンバー達に「はじめまして!」のご挨拶。皆さん予想を上回るダンディー・ガイズ。

ギターのカポネさんはフランス映画に出てきてもおかしくない、憂いたっぷりの優しい目をしていて、思わずこの身が溶けそうになった。まだ若かりし学生時分、安藤さんと同じジャズ・ギター教室に通ってらしたと聞き、何故だか少しホッとする。

ピアノの中島さんは関西人だった。笑いの中にもキラリと光るエスプリがあるのを僕は見逃さなかった・・・トロンボーンも吹くという。タダモノではない。本番前にリハであたれなかった曲についても丁寧に解説してくださった。ホッ。

リーダーのDAIROさんは・・あれ?どこかでお会いしたことがある!絶対に。「そうだ!」。とあるレコーディング現場でのこと。リズム隊、ブラスセクション同録という、今では(きっと)珍しいスタイルでの仕事後、ロビーで寛いでいたら誰もいない筈のドラム・ブースから漏れ聴こえる素晴らしいSwing Beat !!・・恐々覗き見たとき、そこには確かに僕のスティックを手に、極々自然にまるで自分のキットと戯れるがの如くプレイに興じているオールバックのお兄様がいた。・・傍にSaxophoneを転がし置いたまま・・。記憶の糸は繋がった。

ゲタ夫さんは「オーイェー?・・アーハ~ン!」とLove & Peace。

唄のスブリームさんは銀座フレンチ・カンカン娘!!日本での生活も長いらしい。本番前の発声練習がなんともナヤマシイ。「どんなスタイルでも唄ってのけるザ~マスあるよォ!」と頼もしさが爆発している。

かくして待った無しの本番がやってきてぇ・・・
とても、これが、筆舌に尽くし難く・・・
楽しかったのであります。

皆夫々の音に夫々の人生が・・・ 刹那とも永遠ともつかぬ瞬間瞬間の哀れなるつれづれに・・・笑いが先か、涙が先か・・・気がつけば一遍の、一遍のピンク色した音絵巻となってぇ・・・銀座の街のとある地下深く、とある地下深くのJazzバーに・・・綴り織られていったのでぇ、あります(涙)。

「PINK BONGO」・・・人生の香りプンプンの、それはそれは妖しくも愉しいオトナたちの桃源郷なのでした。
皆さん、要チェックですぞ!!では失敬。

Peace,