Copyrights 2012 Hiroyuki Noritake

Essay

Vol.31

先日、初めて「山海塾」というものを観てきた。あの全身を白く塗った現代舞踏集団ね!と、その存在を知る人は僕を含めて多いと思うが、そのパフォーマンスに生で触れてみて僕は得体の知れない感動に包まれてしまった。

概して人が芸術に触れる時、そこに何らかの意味やストーリー性を見い出そうとしてしまうあまり、その存在の持つ重力そのものを見落としてしまうことがある。はたして彼らの研ぎ澄まされた動きの連続は、観衆に対してその隙すら与えないものだった。生きた細胞の集合体としての肉体・・その動きそのものが強烈なオーラを発しているからだ。

さらに個々の肉体はその波動によってひとつに結ばれているという。それは僕が想い描くところの理想的ジャズ・アンサンブルの世界・・。

肉体の動きを音に変換してゆくのが僕ら演奏家の本質だとすれば、彼らの本質にはもっと原始的で根源的な価値観が潜んでいるに違いない。

また、カーテンコールでの塾長(?)、天児さんの立居振舞はあまりに美しく洗練されていて、観衆へのこの上ない礼のこころを痛々しいほど繊細に、全身全霊で表現しているようだった。彼らの舞台人としての在りかたと誇りを象徴するかのようなラスト・シーンに涙してしまった。

さて、このところ心身ともに充実したライヴ・ワークが続いていて、そのお陰か珍しく風邪もひかずにすんでいるのが、ちょっと嬉しい。

僕にとっても念願だった、天野さんのレコ発ライヴ。素晴らしい時間だったなぁ。

この日はドラムのチューニング、全体の音場、精神状態、体のコンディション、お天気・・その他いろんな波長がピタッと噛み合っていて、僕はセットを前に座っているだけで、何ものとも格闘する必要が無かった!音楽がストレスなく自然に、あるべき方向へと進んでいくのをただ楽しんだ。次の名古屋ブルーノートがとても待ち遠しい。バンドとしてのレコーディングや全国ツアーの実現など・・夢は膨らむのです。

その後の古川兄弟のライヴも、とても上質な時間だった。みんなの音の断片の、ほんの小さなニュアンスまで感じ取れる空気が、ゆったりと流れている、そんな時間・・曲は大変なのばかりだけれど。僕はそんな時間が大好きなのだ。

はてさて、そんな中。もうすぐ稲垣潤一さんのツアーが始まる。僕にとっては初めてともいえる、「唄もの」ツアー。普段の活動と比べると、確かに勝手の違う部分もあるけれど、インスト界だって音楽性は十人十色、百曲百景。そこでしか成し得ない貴重なハーモニーづくりにドラマーとして、人間としてベストを尽くすことに変わりはないでしょ?延べ四日間にわたるリハーサルも順調に終え(と僕は思っているのだけど)、あとは本番を待つのみ。稲垣さんの素晴らしい歌声と楽曲が、より遠くの宇宙まで響くよう・・頑張るのだ!!

Peace,