Copyrights 2012 Hiroyuki Noritake

Essay

Vol.39 / 2004.7.17

無我夢中で立ち向かった本番も、終わってみるとあっという間の出来事。疲労困ぱい・・・演奏の出来如何など振り返れぬほどクタクタになっていた。ただ、はっきり言えるのは、技術、体力、ともにおいて、フルステージを神保さんとこなすのは至難の業であるということ。

仕事が忙しくなると、本番に対する、ある種、熟練度のようなものが増して、それなりにプロドラマーとしての充実感に浸ってもしまえる。けれど、アーティストとして、純粋に今の自分に無いモノ、できないモノに対する好奇心と、そこに立ち向かう勇気を忘れてはならないのだ!ということをSynchronized D.N.A.は教えてくれる。

このユニット、年内にも映像作品を作る方向で動いています。頑張るのだ!!

翌々日、S.DNAは大阪公演もなんとか無事に終え、終演後間もなく神保さんはクリニックのためフランスへ、僕は京都へと移動。RAGでの3Daysが待ち受けていた。

年に一度の恒例となった則竹3days、今回はなんと!我が国Jazz界の重鎮にして永遠のアイドル、紫綬褒章受章者でもある日野テルマサさんを二日間に渡ってフィーチャーしてのスペシャル企画。本田雅人さん、青柳誠さん、青木智仁さんというスペシャルな仲間達とともに、巨匠のRAG到着を緊張しながら待つ事に・・・。

各メンバー、器材セッティング等を済ませた頃、日野氏、マネージャーさんと華々しく登場。年齢を考えると信じられないほど颯爽としたその身のこなしに、一同「・・・・・ゴクリ・・。なんてカッコウいいんだ!!」

僕がバンマスとして先陣を切ってご挨拶するも拍子抜けするような気さくさ。そして(どこまでも品を携えたままの)ジョークの嵐、嵐。僕達が何となく抱いていた、氏への共通したイメージ「むっちゃ恐い人ちゃうん?」が一瞬にして崩れ去る。

次に感動したのは氏が取り出した譜面。事前にこちらがお送りしてあった資料は、その殆どが氏自らの手によってトランペット・キーに移調されていて、それはそれは写譜屋さんもビックリの美しさだった。やはり一流であるほど、ひとつひとつの仕事を丁寧にこなすものなんだな・・。

かくして後々まで語り継がれるべき名演が、春うららかな木屋町の夜に響いたのだった。あァ・・録音しておくのだった・・。日野氏の、魂の叫びのような美意識に触発されるかのように、一同本当に素晴らしい演奏だったと思う。少しばかりは神様と心が繋がったかも!?そんな気がした今年のゴールデン・ウィークでした。

東京に戻るや、本田雅人さんのアルバム・レコーディング。実際には3月中旬から断続的に録り始めていたもので、今回は全曲固定メンバーという、限りなくバンドな録音。やり甲斐もひとしおというもの。

大体において彼は本当に僕の良き理解者である。こんな僕を付かず離れず、絶えず見守ってくれているような気がする(ロンドンへの出発の時、餞別まで持ってわざわざ空港まで見送りに来てくれたのも彼だった)。

彼のレコーディング作業の厳しさは、業界でも有名な話。だけど僕には不思議と居心地がいいのだ。それは楽器こそ異なれど、音楽に対しての言語が共通、もしくは非常に似通っているせいだからだと思う。そんな人、そうそう出逢えるものではない。先日ミックスダウンを完了したと聞く。発売日がとても楽しみなのです。

Peace,