Copyrights 2012 Hiroyuki Noritake

Essay

Vol.47 / 2008.4.12

年に一度の更新ペースも危ぶまれる中、H.P.リニューアルの予定を前にやはりこの辺りで、最近思うことなどをまとめておくべきであろう。そう、春なのだ!

前回のエッセイvol.46は2007年のJanuaryとあるから、もう大昔。とりあえず去年のスケジュール帳でも開いてみる。うむ、なかなかよく働いている。せっかくのオフにも個人練習を詰め込んでハァハァしている図が目に浮かんでくる。今もここ熱海の自宅スタジオでヒィヒィいってるわけだから、そういう意味では僕の人生の過ごし方に『変化』というものはない。きっと何十年も前から変わっていないに違いない。努力家でも勉強家でもない僕をこんなにも夢中にさせるのだから、『ドラム=音楽』というものには、ただただ畏敬の念を抱くばかり。それから不器用であることと独学であることも、退屈をしないでこの道を歩いていけることに(僕の場合は)無関係ではないと思う。

2007のトピックのひとつはSynchronized DNAの全国ツアーと、ライヴDVDのシューティングだ。超人神保さんとのステージは毎回が刺激的であり、シンクロしながらも自己のアイデンティティーを確認する!という大命題において、油断や隙のまったくない現場。仕上がった作品『Are You Synchronized ?』はユニットとしてのひとつの到達点といえる。暗譜で臨まねばならないツアーへの準備期間は例年4ヶ月を超え、他の仕事をこなしながらのこの期間は町人則竹にとって試練のときとなる。今年の活動予定がないのは寂しい限りだが、Next Stepへ上るためには必要なブランクとも考えられる。本番だけが仕事ではないのだ。

『Young Peoples Concert』から『バーンスタイン・プログラム・ツアー』へと続く佐渡裕さん/シエナ・ウインド・オーケストラとの再会。これも2007年の大きなトピック。佐渡さんやシエナの皆と共演すると、音楽を創っていくことって、こんなにも尊く、感動的なことであったのか!と再認識できるからだ。佐渡さんの指揮を見ていると、人生の核心にさえ触れることができる。優秀なクラシック奏者である彼らとのアンサンブルから学ぶところは無限にあるし、僕にとっては命の泉のような現場。今年もいろんなかたちで共演できるのは本当に有り難いことである。

12月に品川で行われたCANONのイベント『野呂一生×則竹裕之/スペシャルライヴ』も大きな出来事。自身の撮った映像作品とライヴ演奏のコラボレーション。そしてCASIOPEA休止宣言以来、公に対して沈黙を守ってこられた野呂さんとの共演。いろんな意味で胸躍るチャレンジングな体験だった。CANONというデジタルカメラ界の最先端をいくトップ企業が、万難を排してこのような実験的イベントを企画、決行にこぎ着けてくださったことは驚嘆に値することである。我々ミュージシャンは大抵みな個人事業主だが、目先の仕事に追われるばかりではなく、広く芸術文化の担い手のひとりとしての自覚を持ち、誰もがやらなかったことに挑戦していかなければならない。そして企業もまた、ひとりの熱い想いが全体を動かすということにおいて我々と何ら変わりはないのだということを学んだ。まさに『Make it possible with CANON !』である。

スケジュール帳を閉じる。2008年も四半期が過ぎ、桜と入学式のシーズン。入園式と、それからTHE SQUAREへの入団式も数に入れると6回の入学式を経て以来、件の「ある意味『変化』のない人生の過ごし方」を送っている僕だが、春ともなれば何か節目が欲しくなるのも人情。長らくお休みさせていた赤ラメのドラムキットを現場復帰させるべく、楽器調整を兼ねた自主トレに勤しんでいるわけだが、内心かなりの盛り上がりをみせている。実に当たり前のことであるが、今まさに己の人生の最先端の時を生きている!という実感がある。一拍目から二拍目へと確信をもってスティックを振り下ろしている、そんな感覚。時として小さな発見は世界観を変えるぐらいのチカラを持っているものだ。そんな発見にこれからも沢山出会えるよう、気分だけはいつでも新入生でいよう!

Peace,